第2回 マクロ経済学のデータ
マクロ経済学で用いる生産関数は、次のような関数を仮定することが多い。 Y = F(L,K) ここで、YはGDP、Lは労働量、Kは資本ストックである。
Penn World Table(PWT)はシンプルかつ抜けが少なく、データが集めやすい印象。
この講義でもPWTのデータを引っ張ってくる。
ある時間によって変化する変数X_tを対数変換しよう。 \log X_t いま、X_{t}からX_{t+1}への変化率は、 \frac{X_{t+1} - X_{t}}{X_{t}} \approx \log X_{t+1} - \log X_{t} で近似できる。
\begin{aligned} \log X_{t+1} - \log X_{t} &= \log \left( \frac{X_{t+1}}{X_t} \right) \\ &= \log \left( \frac{X_{t}+X_{t+1}-X_t}{X_t} \right) \\ &= \log \left( 1 + \frac{X_{t+1}-X_t}{X_t} \right) \\ \end{aligned} いま、g \equiv \frac{X_{t+1}-X_t}{X_t}とおけば、 \begin{aligned} \log X_{t+1} - \log X_{t} &= \log \left( 1 + g \right) \\ \end{aligned} ここで、\log(1+g) \equiv f(g)としよう。 f(g)をg=0近傍でテイラー展開し、一次関数で近似すれば \begin{aligned} f(g) &\approx \log 1 + \left. \frac{\partial \log (1+g)}{\partial g}\right|_{g=0} (g-0) \\ &= \frac{1}{1+0} g \\ &= g \end{aligned} ゆえに、 g = \frac{X_{t+1}-X_t}{X_t} \approx \log X_{t+1} - \log X_{t}
テイラー展開はg=0近傍、つまり成長率がほぼゼロの近辺での近似をしている。
したがって、成長率が0から離れるほど、近似精度は落ちる。
しかし、実用上はそこまで問題はないと言えるだろう。
対数変換したデータから、だいたいの変化率を測ることができる。
1番目からN番目までのデータが得られたとしよう。 それぞれを、 \{ x_1, x_2, \cdots, x_N \} として表現する。
\{ \cdot \}は集合を表している。
集合の中のインデックスを使って、次のようにも表すことがある。 \{x_n \}_{n=1}^N
また、インデックスの値が明らかな場合、上記の表現はさらに省略されて
\{x_n \}_{n} と表される場合もある。
データの集合\{x_n \}_{n=1}^Nの特徴を表す値を、代表値という。
代表的なものは
データ\{x_n \}_{n=1}^Nの平均値\bar{x}は、次のように定義されます。
\bar{x} = \frac{1}{N} \sum_{n=1}^N x_n
10.0
小さい順にデータを並べた時、ちょうど真ん中にある値。
データの数が偶数なら、真ん中に2つ値があるはずなので、その二つの平均値が中央値として定義される。
4.0
データの中で、最も出現する値を、最頻値という。
4
5
データの散らばり具合を表す指標。
623.5714285714286
分散は単位が元のデータの2乗になっている。
標準偏差は分散を\frac{1}{2}乗して、散らばりの指標の単位を元のデータの単位に揃えたもの。
24.97141222621237
データ\{x_n\}_{n=1}^N、\{y_n\}_{n=1}^Nが存在する時、2データの共分散と相関係数を次のように定義する。
array([[1. , 0.23960304],
[0.23960304, 1. ]])
論文、レポートにおいて使用するデータについては、記述統計量を記述統計表としてまとめて載せる。
例えば先に出たGDP、労働者数、労働時間、資本ストックを使う場合、以下のようにまとめることが考えられる。
| 平均 | 標準偏差 | 最大値 | 最小値 | |
|---|---|---|---|---|
| GDP(bil. USドル) | 2836.3 | 1787.2 | 5108.8 | 242.6 |
| 労働者数(mil.) | 59.0 | 8.6 | 70.0 | 39.4 |
| 労働時間(時間/年・人) | 1982.6 | 144.1 | 2175.3 | 1691.1 |
| 資本ストック(bil. USドル) | 12219.9 | 8666.2 | 23918.0 | 790.5 |
第2回 マクロ経済学のデータ